もう目前に新年度が迫ってきて、世間的には「増税」ネタが尽きませんが、仕事の帰り道でガソリンスタンドが渋滞になっていたのには驚きました。駆け込み需要なんて言われてますが、要は抗えない流れによって財布片手に駆け込まされてるわけで、一種の強迫観念にも近いのかなぁと思う次第です。
抗えない流れと言えば、国土交通省が「2050年になると、日本の人口は約9700万人に減少し、全国の6割以上の地域で、人口が2010年時点の半分以下になる」という試算を発表したそうです。たかだかあと36年ですから、私は63歳ということになります。これぐらいの年齢ならまだまだ元気に動き回っている人もいる年齢かと思いますが、人がいなくなってしまうと言われたらどうしようもありません。
そもそもこの試算がどれだけ正確性のあるものなのか、その問題もあるわけですが、論のひとつとして知っておいてもいいのでしょう。実際のところは、だからこそリニアを中心とした交通網を大都市間で整備して「コンパクトシティ」を推進していきたいという思惑があるようにも見えるのですが、この論を深刻に捉えると、ここ数年で注目度の上がっている「コミュニティデザイン」や「地方の活性化」などといった様々な取り組みは、一時期のブーム程度にしかならないということになるでしょう。その可能性はもちろん否定できませんが、国が「国内における多様性」を捨てようとしている姿勢に関しては少し疑問を感じています。
地方の企業は人材育成が難しいと、ある地元の会社に勤務する方から話をうかがいました。大都市の大企業であれば毎年新卒を募集して、もう若手育成のマニュアルも出来上がっていますが、地方の企業ではその土壌がないんですよね。そこには、どうしても投資できるだけの余裕がないという厳しい現実があって、結果的にキャリアアップを求める若者は大都市へと流出していき、地方の企業で働く人の平均年齢は上がっていく一方という負の連鎖が止められなくなっています。
メディアでも地方の取り組みが紹介されることはありますし、私自身も地方で活動をしている人間のひとりではありますが、今ある求人の中で、「食っていける仕事」がどれだけあるのかと考えると、その候補は結構減ってしまうのかなぁと思います。私は実家暮らしなので、そこまで固定の出費がないので助かっていますが、今の収入だけではとても一人暮らしは続けられません。私自身も含めて「ひとりで食っていけない」というのが、地方で暮らすことの大きな障害となっていることは、もう明らかです。
その障害にひびを入れてくれるのが、「個人」なのか「企業」なのか「行政」なのかはわかりませんが、解答がひとつ見つかるだけで、地方はまだまだ突き抜けられる力を持ち得るとわたしは信じています。