日本の生産年齢人口が32年ぶりに8000万人を下回ったというニュースを目にしました。もう少し詳しく紹介すると、「15~64歳の生産年齢人口は前年より116万5千人減って7901万人。総人口に占める割合は62.1%」だそうです。

さらに、65歳以上の高齢者は前年より110万5千人増えて3189万8千人。総人口に占める割合は25.1%と過去最高を更新したそうです。逆に過去最低を更新したのは0~14歳の割合で、15万7千人減の1639万人となり、総人口に占める割合は過去最低を更新し、12.9%となりました。

 

団塊世代と呼ばれる方々がごっそり生産年齢人口の枠から出て行く一方で、新たに枠に入ってくる若者は少なく、こればかりは特効薬のようなものはありません。結論から言えば「子どもを増やす」しかないわけですが、待機児童問題や子どもを産み育てることの難しい景気状況などの影響もありますから、まさに「言うは易し行うは難し」といった状況です。

 

生産年齢人口が減っているなら、就職なんかはしやすくなるのでは、とも思いたくなりますが、若者の数は減っているのに、それ以上に求人数が少ないから、結果として就職活動などにおいては、特定の企業や職場により一極集中してしまう傾向にあるのかもしれません。有効求人倍率は高水準だというニュースもありますが、これはあくまで公共職業安定所(ハローワーク)に申し込んでいる求職者とそこで募集されている求人数の割合なので、あくまでフィルターありの数字と捉えるのがよいでしょう。

 

世間では人手不足と言われる一方で、若者たちは仕事が無いという、まさにミスマッチの状況が多くの業界で起きているようです。ミスマッチの解消法としては、当たり前ですが「マッチング」が重要になってきます。そう、答えは単純であるにも拘らず、それができていないのが今の社会状況だと言うことも可能なんですね。

 

こういった話の中によく登場するのが「人材」という表現です。何気なく使っていますが、実は、人材には「役に立つ」とか「能力がある」といった意味合いが含まれていて、実はどんな人でも働ければ人材だとは言い切れないんですね。つまり、ニュースなどで「人材不足に嘆く企業」なんて紹介がされていれば、要は「使える人間がいない」ということであって、どんなに「働きたい」と思っている人が多くいたとしても、そこにマッチングの奇跡は起きないというわけです。

 

そこに追い討ちをかけるように生産年齢人口、つまり働ける人の頭数まで減っているというニュースがありましたから、競争相手が少ないのに苦労するという悲劇的な展開になっているということです。小学校の頃からプログラミングを学ぶとか、漫画『銀の匙』の影響で農業高校への進学希望者が増えたりといった明るい話題もありますが、やはり学校の勉強以外の能力を若い頃から伸ばすことができる環境を社会がいかに用意できるかということが重要になってくると思います。社会、会社に必要なのは、パイの奪い合いの能力ではなくて、パイをいかにシェアするかという発想力だと言うことができるではないでしょうか。