マイルドヤンキーという言葉が、とうとうテレビでも取り上げられるようになりました。ヤンキーと聞くと「不良」のイメージが強く、中高年の方々からすれば良いイメージは浮かんでこないかもしれませんが、実際のところ、地方に暮らし、そこにある小さなコミュニティに一生属していこうと考えている若者の存在は、これからの地方を考える上で無視できない存在であることは間違いありませんし、貴重な人的資源であることは疑いようがないでしょう。
参考までに、NHKでマイルド・ヤンキーが紹介された際の、その特徴を載せておきます。
1.「絆」「仲間」「家族」という言葉が好き
2.“地元”(家から半径5kmくらい)から出たくない
3.車(特にミニバン)が好き
4.ショッピングモールが好き
5.EXILEが好き
上記5つが紹介されていましたが、身の回りに当てはまりそうな人はいるでしょうか。ちなみに、ハフィントンポストで紹介された際は以下のような特徴が挙げられていました。
●生まれ育った地元指向が非常に強い(パラサイト率も高い)
●郊外や地方都市に在住(車社会)
●内向的で、上昇指向が低い(非常に保守的)
●低学歴で低収入
●ITへの関心やスキルが低い
●遠出を嫌い、生活も遊びも地元で済ませたい
●近くにあって、なんでも揃うイオンSCは夢の国
●小中学時代からの友人たちと「永遠に続く日常」を夢見る
●できちゃった結婚比率も高く、子供にキラキラネームをつける傾向
●喫煙率や飲酒率が高い
これらの特徴を見た中で、個人的に非常に気になったのは、ハフィントンの方だけに載っている「低学歴で低収入」というものです。これこそヤンキー=不良=低学歴=低収入という固定観念から生じているものだと思われるのですが、実際。都会に比べれば地方で働く人の収入が低いことは間違っていないでしょう。ただ、様々なものが年々より安価になって手に入れやすくなっている時代に、「じゃあ、どれほどの収入があればいいのか?」という疑問に対して明確な回答を示している人はいません。高齢化社会が進んでいく中、「敢えて」実家を離れて暮らすことが必ず良いことだと言えるのかも分かりませんし、地元大金では無くても定期的にお金を落としてくれるマイルド・ヤンキーは、地方都市においては貴重な存在でしょう。
労働力であり、消費者であり、可能性でもある地方のマイルド・ヤンキーを、かつての価値観のままに批判することは簡単ですが、そこに大した意味はありません。大企業の目の届かない所で暮らすようになった若者達を、地方がどう見つけ出し、どう活かしていくことができるか。スペイン・サッカーの世界では、クラブの下部組織を「カンテラ(=石切り場)」と呼びます。原石をいかに見つけ出し、いかに育てていくことができるか。「原石をダイヤモンドに」なんて言葉は使い古された感もありますが、これからの地方では、まさに都会に出て行かず「地元」に埋もれている可能性を秘めた原石をいかに見つけ出し、拾い上げ、伸ばすことができるかに力を注いでいく必要があるのかもしれませんね。これは「地方における教育の充実」という話にも繋がっていくのですが、それはまた別の機会に書くことにしましょう。